「北山川の筏流し技術」が和歌山県初の林業遺産に登録されました
日本森林学会が行う林業遺産認定において、 和歌山県で初めて「北山川の筏流し技術」が登録されました。
日本で唯一の飛び地村であり、和歌山県最後の村・北山村に伝わる北山川の筏流しは、16 世紀ごろより昭和 30 年代まで継承されてきた木材流送の技術であります。
古くは豊臣秀吉が大坂城、伏見城築城の用材として求めたことをきっかけとして流域の木材生産は発展したことで、良質な木材が筏によって多量に搬出されるようになり、17 世紀以降、筏役は制度化され、流通体制が確立されていきました。
最盛期の年間流送量は、北山川と十津川筋を合わせて「熊野川筏百万石」といわれており、北山村の筏師は数 百人に達し、筏による木材の流送は地域の林業を大きく支えていました。
しかし、その後の近代化にともなう道路網整備によるトラック輸送への転換や大規模なダム開発により、北山川水系では木材流送としての筏流しは昭和38年5月が最後となりました。
しかし、伝統の技術は、村おこしの観光の目玉として昭和54年8月より開始した「北山川観光筏下り」に引き継がれ、毎年5月~9月の運行シーズンに約7000人の乗客があり、最近は海外からの観光客にも伝統文化と美しい奥瀞の景色を楽しめる唯一無二のアクティビティとして人気を集めています。また、筏師育成事業も継続して行われています。
「北山川の筏流しは伝統的な筏流しの姿を今に伝える全国唯一の例であり、使われている技術も熊野地域の林業の歴史と伝統を今に伝える者であり林業遺産とする価値が十分にある。」と、日本森林学会員の大住克博氏から推薦され、登録を申請しました。
申請後の日本森林学会林業遺産選定委員会の審査においても「木材流送の技術として発展した筏流し技術が、現在まで観光筏下りとして保存・継承されており、伝統的な筏流しの姿を今に伝える全国唯一の例として、熊野地域の林業の歴史と伝統を今日に伝えている。」と評価されたことで認定登録に至りました。
【林業遺産/日本森林学会とは】
大正3年創立の日本森林学会が行う林業遺産認定事業は2013年に学会100周年を契機として、日本各地の林業の 多様な発展の歴史を将来にわたり記憶・記録していくための試みとして発足されました。
森林環境税創設など森林や林業の価値が見直され、発展させる機運が高まる昨今に、こうして「林業遺産」に登録された和歌山県北山村の「北山川の筏流し技術」を、この認定をきっかけにさらに後世に残して行きたいと考えており、より沢山の人に知ってもらう機会になるようにと考えています。
「北山村観光筏下り」ご予約等お問い合わせ先
○ 北山村観光センター (0735-49-2324)
「林業遺産」についてお問い合わせ先
○ 北山村教育委員会 (0735-49-8010)